日本刀に纏わる事件

 日本刀は武器である以上、その取扱いは銃刀法に従ったものでなければなりません。しかし時には同法を侵し、人の命や健康を奪ってしまうことがあります。過去にはその種の事件が生じており、最近では東京の神社で宮司が複数人に斬りつけました。この事件では結果的に日本刀が、自殺した宮司自身と親族の命を奪ってしまったのです。津山の事件では日本刀による大量殺人が起こってしまい、当時の人々を震撼させました。この事件は後に小説や映画のモチーフとなっており、松本清張も自身の作品に用いたことが知られています。

 他の例を挙げましょう。平成19年に起きた事件も悲惨なものでした。政治家とその長男とが徳島の自宅で亡くなっているのが発見された事件で、その姿は血だらけだったと言われています。実はこの事件の犯人は外部の人間ではなく、政治家その人でした。つまり政治家が日本刀で自分の息子を殺した後、自殺したというのが真相だったのです。この政治家は大正時代に創業した建設会社の会長で、マンションを建てたり、公共事業に携わったりしたことで、巨万の富を得ていました。不動産業も順調で、県の業界団体会長や商工会議所の役職を歴任した後、政治家に転身しました。しかし中央政府の方針に逆らった結果、所属する党との関係に悩み、精神的に不安定になりました。長男はと言えば、同社の社員となっていました。しかし積極的に従業することなく、家族関係も不和に陥っていました。両人共に悩みを抱えていた中で、この事件は起こったのです。

 事件のきっかけは、政治家が長男の態度に腹を立てたことでした。妻が間に入ったものの、結局事件は起きてしまいました。